人生コンパス
開発ストーリー

子育て中の父が、自分が何歳で FIRE できるのか本気で知りたくて作ったシミュレーター

読了 約 12

はじめに — 教育費を真面目に計算してみた夜

ある夜、子供の進学費用をざっと計算してみた。

私立中学、塾、大学までを真面目に積み上げると、子供 2 人で 3,000 万円を超えた。 住宅ローンもまだ残っている。老後資金は 2,000 万円必要らしい。 「全部足したら 8,000 万円じゃないか」と思って、しばらく動けなかった。

そして、ふと思った。「じゃあ僕は、いつになったら FIRE できるんだろう?」

40 代になって、仕事を辞めて自由に生きるという選択肢は、現実味を帯びはじめている。 でも教育費が重い。老後も重い。

ライフプランシミュレーターはいろいろ試した。 どれも「老後にいくら必要か」は教えてくれる。 けど、「自分は何歳で FIRE できるのか」を、納得できる形では教えてくれなかった。

既存の FP ツールに本気でガッカリした 4 つの理由

FIRE 達成年齢を知るためには、シミュレーターの精度がそれなりに必要だ。 だが既存の FP ツールには、看過しがたい問題が 4 つあった。

1. 「30 年後 3,624 万円」と言われても実感がない

将来の金額そのままで表示されても、それが今のお金にしていくらに相当するか分からない。 例えばインフレ 2% 想定なら、30 年後の 3,624 万円は 今日の感覚で 2,000 万円。 数字は同じなのに、印象が劇的に違う。

本来 FIRE の世界で使われる「4% ルール」も、もともと「今日の購買力」ベースで作られている考え方。 日本のツールがこれを将来金額のまま出すから、自分の感覚に紐付かない数字になる。

2. シミュレーション結果を信用しきれない

多くのツールは「楽観・標準・悲観」の幅でシミュレーション結果を出す。 ところが、その「真ん中」が、固定リターンで素直に計算した値と全然合わない。

理由は計算手順の作り方にミスがあるツールが少なくないから。 結果として「真ん中」が実際より低く出てしまい、ユーザーは 「このシミュレーターは悲観的すぎる、信用できない」と感じてしまう。

3. 商品単体の結果しか出ず、ポートフォリオ全体が見えない

多くのシミュレーターは「商品ごとに平均このくらい増える」を出してくれる。 だが、自分が実際に持っている NISA・iDeCo・特定口座の組み合わせ全体がどう動くかは教えてくれない。

ましてや「NISA で攻めて特定口座で守る」のような戦略を取った時に、 FIRE 計画がどう変わるかは、繋がっていない。

4. 暴落が来たらどうなるか、単発でしか試せない

リーマン級の暴落が来たら資産がどうなるか、を試せる機能はある。 でも 「何歳で暴落が来るか」 で被害は劇的に変わる。 50 歳で来た場合と、65 歳で来た場合では、FIRE 計画への影響は全く別物になる。

両方を試して比べたいのに、ツール側がそこまでサポートしていない。

自分の FIRE 達成年齢が出るツール、自分で作ることにした

既存ツールに頼れないと分かって、「だったら自分で作ろう」と決めた。 仕事の合間に少しずつ、5 ヶ月かけて作ったのが 人生コンパス です。

子育て中の僕みたいな人が、教育費・住宅・年金・投資・税金を全部入れて、「今のまま行ったら何歳で FIRE できるか」を数字で知れるツールにした。

設計で大事にした 5 つのこと

譲れない設計判断が 5 つあります。

1. すべて「今日の購買力」で表示する

将来 30 年の数字を、今日のお金の感覚で読める形で表示する。 「30 年後 3,624 万円」ではなく「今日の感覚で 2,000 万円」と出す。 これだけで判断のしやすさが全然違う。

2. ポートフォリオ全体から FIRE 計画まで、一気通貫

これが他のツールと 一番違う部分

あなたが持っている全商品を「組み合わせたポートフォリオ」として、 商品間の値動きの関係 (相関) まで考慮してシミュレーションを実行する。 そこから 5 つのシナリオ (楽観〜悲観) を作り、各シナリオで NISA・iDeCo・特定口座それぞれの動きを再計算する (戦略の差がここで反映される)。

さらにその 5 シナリオを FIRE 計画全体に反映 して、 「楽観シナリオなら 47 歳で FIRE、中央なら 51 歳、悲観なら 55 歳」のように 並べて比較できる。

「商品単体のシミュレーション」と「ポートフォリオ全体 → FIRE 計画への反映」は別物。 ここまで一気通貫で繋がっているツールは、調べた限り見つかりませんでした。

3. 暴落を「いつ来るか」まで指定できるストレステスト

市場暴落は 「いつ来るか」で被害が劇的に変わる。 50 歳で来た場合と、65 歳で来た場合では、FIRE 計画への影響は別物です。

人生コンパスでは:

  • 過去の暴落 (IT バブル・リーマン・コロナ) を 指定した年齢で再現 できる
  • 暴落の規模 (-30%〜-80%)・期間・回復速度を 自分で設定 することもできる
  • 同じ準備でも「46 歳で暴落 vs 65 歳で暴落」で FIRE 達成年齢がどう変わるかを比べられる
ここまで暴落タイミングを作り込めるツールも、調べた限り見つかりませんでした。

4. 取崩しの順序を細かく選べる

「老後の取崩しは特定口座から、NISA は最後」というのは税効率の常識。 だがそれだけではなく、同じ種別内に複数の口座があるとき、 どの口座から崩すかでも結果が変わる。

人生コンパスでは、種別の優先順序 (特定口座→ NISA など) に加えて、 種別内で「低利回り口座から先に崩す (高利回り口座を残して育てる戦略)」「高利回りから崩す」も選べる。 iDeCo は退職金との出口最適化まで計算する。

5. 計算ロジックを全公開する

全部の計算式を /about/calculationに公開しています。

「正しさを主張するため」ではなく、ユーザーが数字の出どころを自分で検証できるための装置として用意した。 同時に「概算であること」「市場予測は不確実」「税制は変わる」も同じ熱量で書いた。 透明性と謙虚さはセットで提供する。

v1 でできること

  • /simulator — 年齢・収入・支出・資産から FIRE 達成年齢を試算。 フル FIRE / バリスタ FIRE / サイド FIRE も自動判定
  • /investment — NISA / iDeCo / 特定口座と各商品を入力。合成リターンを算出
  • /investment/monte-carlo — 相関考慮の合成ポートフォリオ Monte Carlo → 5 シナリオを自動生成 → /simulator/compare で比較
  • /simulator/risk-test — 過去の暴落 (リーマン等) を指定年齢で再現
  • /simulator/risk-test/advanced — 暴落の規模・期間・回復速度を自由に設定
  • /pension — 加入履歴から老齢基礎年金・厚生年金を試算
  • /budget — 月別収支管理 + シミュレーターへの反映
登録不要、ブラウザ内保存のみ、サーバ送信なし。計算ロジックも全公開。

使ってみて見えたこと (僕の場合)

自分の数字を入れてみて、3 つのことが分かりました。

1. バリスタ FIRE なら、教育費の山の途中でも辞められる

これが最大の発見でした。

当初僕は「教育費の山を越えてからじゃないと FIRE は無理」と思っていました。 子供 2 人が大学を出るまで、つまり 55 歳くらいまでは本職を続けるしかないと。

ところがシミュレーターに 「バリスタ FIRE」(年収 200-300 万円の軽い仕事を残す)のシナリオを入れたところ、40 代後半で本職を辞められる という結果が出ました。 教育費のピーク中ですら、です。

理由はシンプルで:

  • 本職の収入を完全に失うと教育費でキャッシュフローが詰む
  • でも軽い副収入で生活費だけ賄えれば、教育費は資産取り崩しでカバーできる
  • 資産は運用を続けているので、暴落しない限り目減りが緩やか

「フル FIRE は無理でもバリスタ FIRE なら教育費中でも可能」というのは、 子育て中の親には本当に大きい発見でした。

2. 暴落タイミングで FIRE が 5-10 年ズレる

ストレステスト機能で、リーマン級が来る年齢を変えて比べてみました。 同じ準備をしていても、40 代後半で暴落 vs 60 代前半で暴落で、FIRE 達成タイミングが 5-10 年違いました。

若いうちに暴落が来ると、回復までの長い時間を運用継続でカバーできる。 逆に FIRE 直前 or 直後に暴落が来ると、取崩しが暴落底値を踏むので大ダメージ。 「セーフな FIRE のためには暴落耐性のある時間軸で逃げ切る」発想が必要だと、数字で見えた。

3. 退職金と iDeCo の出口で、税金がほぼゼロになる

退職金と iDeCo の一時金は、受け取り方を工夫すると退職所得控除をフル活用して税金ほぼゼロ にできる。 シミュレーターがこれを正確に計算してくれて、初めて気づきました。 これだけで老後資金の手取りが数百万円変わってきます。

これから書いていく予定

このブログでは、人生コンパスを使って分かったこと、 そして子育て中の家庭の FIRE について、月 2 本ペースで書いていきます。

予定しているテーマ:

  • 「子供がいるから FIRE 無理」を数字で否定する
  • 子育て期の NISA・iDeCo 振り分け方
  • バリスタ FIRE は何歳から狙えるか
  • 暴落タイミングの違いで FIRE はどれだけズレるか (年齢別シミュレーション)
  • 高等教育無償化 2025/4 で FIRE が早まる家庭
  • 取崩し順序が老後 30 年を決める
  • 退職金と iDeCo 一時金の出口最適化

順次公開していきます。

あなたの FIRE 達成年齢を見てみてください

このツールを作ってから、自分の人生の見え方が変わりました。 「いつかは FIRE したい」が「たぶん N 歳で可能」に変わると、 毎日の意思決定の優先度が変わります。

少しでも興味があれば、5 分くらいで自分の達成年齢を出せます。 登録もメールアドレスも要りません。

あなたの FIRE 達成年齢を試算する

年齢・収入・支出・資産をざっくり入れるだけで、フル FIRE / バリスタ FIRE の達成年齢が出ます。登録不要、ブラウザ内保存。

人生コンパスで試算する

人生コンパス v1 は 2026 年 5 月時点で公開中。今後の更新情報やシリーズ記事は、 このブログ /learnで順次公開していきます。