人生コンパス
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計算ロジックの説明

シミュレーターが内部でどのような前提と数式を使っているかを公開しています。 実際の制度より簡易化している部分があるため、結果は目安としてご利用ください。

1. 所得税

給与所得控除 → 各種所得控除(基礎控除・配偶者控除・扶養控除・社会保険料控除)→ 課税所得 → 累進税率テーブルで税額算出 → 復興特別所得税(× 1.021)を上乗せ、という日本の標準的な流れで計算しています。

給与所得控除(令和2年改正後)

給与収入給与所得控除額
~ 162.5万円55万円
~ 180万円収入 × 40% − 10万円
~ 360万円収入 × 30% + 8万円
~ 660万円収入 × 20% + 44万円
~ 850万円収入 × 10% + 110万円
850万円超195万円(上限)

所得税率(累進、速算控除額あり)

課税所得税率速算控除
~ 195万5%0
~ 330万10%9.75万
~ 695万20%42.75万
~ 900万23%63.6万
~ 1800万33%153.6万
~ 4000万40%279.6万
4000万超45%479.6万

注: 寄附金控除・住宅ローン控除など、本シミュレーターでは未対応の控除があります。

2. 住民税

所得税と同じ課税所得に対して、簡易的に 10%(所得割相当)を適用しています。 均等割(年5,000円程度)や調整控除など、自治体差や細部の控除は未反映です。

2.5 児童手当(自動計算)

子どもがいる場合、年齢に応じた児童手当を 非課税収入として自動加算します (2024年10月改定後の制度に準拠、所得制限撤廃)。

子の立場と年齢月額年額
第1-2子: 0-3歳未満15,000円18 万円
第1-2子: 3歳-高校卒業10,000円12 万円
第3子以降: 0歳-高校卒業 一律30,000円36 万円

高校卒業 (18歳) で打ち切り。「第何子か」は各年度ごとに判定し、22歳未満の兄姉がいる場合に順位が下がります (2024/10 改定で兄姉カウントが 18→22歳に拡張)。 例: 長子(20歳)・次子(15歳)・末子(10歳) → 末子は「第3子」扱いで月3万。長子が 22歳に到達すると末子は「第2子」に繰り上がり、月1万に。

税計算には含めず、キャッシュフローのみに加算します。

2.7 退職所得(分離課税)

退職一時金は他の所得と合算せず分離課税とし、退職所得控除と 1/2 課税を適用します。

入力方法

/simulator の「収入」セクションで、種別が 「給与」の収入ストリームを開くと 「退職金 (一時金)」欄が表示されます。ここに退職一時金額を入力すると、給与ストリームの終了年齢の年に支給される想定で計算されます。

退職所得控除額(所得税法第30条)

勤続年数控除額
20年以下40万円 × 勤続年数(最低80万円)
20年超800万円 + 70万円 × (勤続年数 − 20)

課税退職所得 = max(0, (退職一時金 − 退職所得控除) ÷ 2)。 これに通常の累進税率と住民税 10% を適用して、退職所得分の税額として分離計算し、通常所得の税額に加算します。 国民健康保険の所得割計算からも退職一時金は除外します(法令通り)。

勤続年数は退職金欄を入力した給与ストリームの開始年齢〜終了年齢から自動算出されます (例: 開始 22 歳・終了 60 歳 = 38 年勤続)。給与ストリームが存在しない場合は 38 年を仮定。

未反映: 役員退職金の損金算入制限、特定役員退職手当(勤続5年以下の役員)の 1/2 課税適用除外、 短期退職手当(勤続5年以下の従業員、退職所得控除超過分のみ 1/2 不適用)。 一般従業員の通常退職には影響しません。

iDeCo / 企業型DC の一時金受給は 所有者 (本人/配偶者) の退職金有無で課税方法が分岐します:退職金がない場合は本セクションの退職所得控除が適用され、退職金がある場合は簡易 5% (全額ベース) で計上されます。 受給年齢の柔軟化 (60-75歳) や受給後の特定口座移管も含めて、詳細は 「6. 投資・取崩し」内の「iDeCo / 企業型DC の一時金受給」をご覧ください。

3. 社会保険料

給与収入に対する本人負担分の概算として、以下の合算レートを適用しています。

内訳料率(本人負担)備考
健康保険約 5.0%協会けんぽ全国平均
介護保険+0.9%40歳以上のみ
厚生年金約 9.15%労使折半後
雇用保険約 0.6%一般事業
小計(40歳未満)約 14.75%
小計(40歳以上)約 15.65%

標準報酬月額の上限(月65万 = 年780万)に加え、標準賞与額の上限(厚生年金: 1回150万円)を年300万分程度として概算で含めた年収 1080 万円 までを満額レート適用とし、超過分は雇用保険(0.6%)のみを乗せる頭打ち処理をしています。 (健康保険の賞与上限は年累計 573 万円 (1 回上限ではなく年度合計の上限) と別ですが、人生コンパスでは月給+賞与をまとめた簡易計算のため厚生年金側の上限を採用)

注: 標準報酬月額の上限は 2027年9月から段階的に引き上げ予定(月68万→2028年71万→2029年75万)。 本シミュレーターでは未反映のため、改正後は実際の上限がさらに高くなります。

退職後(FIRE 中) / 労働収入ゼロの社会保険料

年齢帯加算項目
20-59歳 (FIRE 中・労働なし)国民年金 20.4万/年 + 国民健康保険(均等+所得割) + 介護(40-64歳のみ +2%)
60-64歳 (年金前)国民健康保険 + 介護保険
65歳以降 (年金受給)国民健康保険(年金所得連動) のみ

国民健康保険 = 均等割 4万 × 世帯人数 + (合計所得 − 43万) × 9% (40-64歳は +2% 介護保険分)。世帯人数は本人 + 配偶者 + 22歳未満の子(就職前の扶養として国保にぶら下がる前提)。

社会保険被扶養者(第3号被保険者+健保扶養)の判定

世帯のどちらかが会社員(社保加入)で、もう一方の労働所得が低い場合、扶養に入って社保負担はゼロになります:

  • 社保加入の判定: 給与+パートの年収が 106万円以上(2022年10月改正後の社保適用拡大基準を採用)
  • 扶養に入れる条件: 本人の年収 < 130万円 かつ 配偶者が社保加入 → 国民年金は第3号被保険者で保険料ゼロ、健保被扶養者で保険料ゼロ
  • 子の健保: 親のどちらかが社保加入なら、子は社保側の健保被扶養者になり国保は不要。 両方とも国保(両方FIRE/自営業)のときだけ子の均等割が発生
本人配偶者本人の社保配偶者の社保子の国保
会社員 (給与400万)専業主婦 (0)厚年+健保(現役)ゼロ(扶養)なし(健保扶養)
会社員 (給与400万)会社員 (給与300万)厚年+健保厚年+健保なし(健保扶養)
FIRE (労働0)会社員 (給与300万)ゼロ(扶養)厚年+健保なし(健保扶養)
FIRE (労働0)FIRE (労働0)国年+国保(世帯)国年+国保 (簡易)本人国保(均等割増)
自営 (200万)会社員 (給与300万)ゼロ(扶養 ≤130万)厚年+健保なし(健保扶養)

簡易化: 「自営業所得 = 給与扱い」のため、自営業で年収 ≥ 106万のときは社保加入扱いになっていません(国保のまま)。 実態に近いですが、厳密にはこのケースで給与所得控除を適用していないため税額が若干過大になります。

注: 均等割の自治体差、平等割(世帯あたり)、所得割の自治体率差、低所得者軽減などは未反映の簡易計算。 実際は前年所得・自治体・国保料率により大きく変動します。

4. 公的年金

シミュレーターの IncomeStream に入力した年金額は「65歳から受給を開始した場合の年額」として扱います。 受給開始年齢を変えた場合に補正を適用します。

受給開始年齢補正基準額に対する割合
60 歳-0.4% × 60ヶ月76.0%
65 歳基準100.0%
70 歳+0.7% × 60ヶ月142.0%
75 歳+0.7% × 120ヶ月184.0%(上限)

自分の年金額が分からない場合は 公的年金シミュレーター で加入履歴から試算し、結果をシナリオに反映できます。 試算式は以下:

  • 老齢基礎年金 = 81.6 万 × (加入月数 / 480)。20-59 歳の閉区間 (= 40 年 = 480 ヶ月) で第1号・第3号・厚生年金 のいずれかに加入していた月数を合算。
  • 老齢厚生年金 = 平均標準月収 × (旧乗率 × 旧月数 + 新乗率 × 新月数)。
    • 新乗率 0.005481 (平成15年4月以降、総報酬制)
    • 旧乗率 0.007125 (平成15年3月以前、賞与を含まない月収のみ)
    • 切替年月は 2003年4月。本人の 現在年齢 から出生年を算出し、各加入年の暦年を判定して自動で分割します (UI 入力不要)
    • 切替年 (2003年) は 1-3 月を旧乗率、4-12 月を新乗率に按分
    • 過去実績モード (記録から月数のみ入力) では、連続就業を仮定して asOfAge から遡って分割
    標準月収は賞与込み年額を 12 で割った概算。
  • 受給開始年齢補正は上表通り。本シミュレーターでは 標準報酬月額の上限(月65万)・加給年金・振替加算・物価スライド・付加年金 は未反映。

注: 加給年金・振替加算、在職老齢年金による減額、企業年金との連動、マクロ経済スライド、付加年金 (国民年金第1号被保険者向けの月400円上乗せ → 老齢基礎年金に 200円×納付月数 が加算される制度)などは未反映です。

4.5 月別収支管理 (/budget)

月別収支管理ページで、カテゴリ別の月予算を入力すると、年額・月貯蓄額・貯蓄率を見える化できます。 結果を選択シナリオの expense.workingAnnual / retirementAnnual にワンクリック反映可能。

  • カテゴリは 4 グループ: 固定費 / 変動費 / 特別費 / 投資・貯蓄
  • 住居・教育・税社保・投資は シミュレーター連動(値はシナリオから自動取得、/budget では編集不可)
  • 退職後の生活費は就業中の retirementMultiplier 倍(初期値 0.7、ユーザー可変)
  • シナリオ反映時は 連動カテゴリを除外(二重計上回避)
  • 貯蓄率 = (月貯蓄 + 月投資積立) / 月収入(税引後)

注: 予算ベースのツール。実績記録・銀行カード API 連携・CSV インポートは未実装。 将来検討項目として docs/calculation-internals.md に記載。

4.7 支出 (年間生活費の扱い)

/simulator の「就業中/退職後の年間生活費」には、純粋な生活費のみを入力します (食費・光熱費・通信費・保険・医療・娯楽・交際・車両維持費 等)。

以下の項目は 別計算 されるため、年間生活費に含めると 二重計上 になります:

項目別計算の入口
住居費 (家賃 or ローン+固定資産税+維持費)「住居」セクション
教育費 (保育園〜大学院、下宿加算)「子ども」セクション (年齢・進学プラン)
税・社会保険料 (所得税・住民税・年金・健保)収入・家族構成から自動計算
投資積立「資産」の各投資口座の月次積立額
ライフイベント一時支出 (車購入・相続等)「収支イベント」セクション

月別収支管理ページでカテゴリ別に詳細管理する場合、シミュレーター連動カテゴリ (住居・教育・税社保) は 自動で除外され、純粋な生活費だけが年間額に反映されます。

年間生活費は前提条件のインフレ率で毎年複利増額。退職後は別途指定した 「退職後の年間生活費」が適用されます (default は 0、月別収支管理で retirementMultiplier 経由で就業中の 0.7 倍程度を目安に設定可能)。

5. 教育費

子ども1人あたりの年額(目安、万円):

段階公立私立
保育園(0-2歳)60(認可)120(認可外)
幼稚園(3-6歳)1631
小学校(7-12歳)35167
中学校(13-15歳)54144
高校(16-18歳)51105
大学(19-22歳)・国公立82
大学・私立文系117
大学・私立理系156
大学・私立医学部(6年制 19-24歳)600
大学・私立歯学部(6年制 19-24歳)450
大学・私立薬学部(6年制 19-24歳・薬学科)220
大学院 修士(23-24歳)・国公立85
大学院 修士・私立文系100
大学院 修士・私立理系115
下宿加算(大学/院ごと)+120+120

子どもごとに教育費倍率を設定可能(初期値 1.0)。塾代・習い事の追加分は倍率で調整してください。

注: ステージ未設定 (例: 保育園を「預けない」) はその期間 0 円扱い (親育児) です。 新規追加の子どもには保育園以外のステージ (幼稚園 → 大学) のデフォルトプランが入りますが、 0-2歳の保育園のみデフォルトが「預けない」なので、共働きで認可保育園に預ける場合は明示的に設定してください。

出典: 文部科学省「子供の学習費調査」、私立医歯薬学費に関する各種調査(中央値ベース)等を簡易化した値。 年度や地域、個別の学校により大きく上下します。

支出グラフ(/simulator)では子ごとの教育費を別の積み上げ系列として表示します。

多子世帯の高等教育無償化 (2025 年 4 月開始)

文部科学省「多子世帯への支援拡大」(所得制限なし)。扶養している子が 3 人以上の世帯で、大学に在学中の子の授業料相当を自動控除します。

段階控除額/年
国公立大学53.5 万 (授業料相当)
私立大学 (文系/理系)上限 70 万
私立医・歯・薬学部 (6 年制)上限 70 万 (5-6 年目も適用)

扶養する子」の定義は文科省公式の 23 歳未満。 進学者本人と兄弟姉妹をカウントします (児童手当の兄姉カウントと同じロジック)。大学院生 (23-24 歳) は扶養に入らないため対象外

例: 親 40 歳・子 19 歳 (国公立大)・子 16 歳・子 13 歳 → 扶養 3 人 → 子 19 歳の大学費は 82 万 → 28.5 万 に控除。第 1 子が 23 歳到達した時点で扶養 2 人になり、 残った大学生も無償化対象外となります。

未反映: 入学金 (上限 28 万) の控除、短大・高専・専門学校への適用、所得連動の段階的減免 (低所得層向け第Ⅰ-Ⅲ区分)。倍率 (塾代等) や下宿加算は控除対象外でそのまま残します。

6. 投資・取崩し

口座種別は 特定口座 / NISA / iDeCo・企業型DC の 3 種類 + 預金。 各口座は入力した期待年利回りで毎年複利成長します。月次積立は contributionEndAge 到達まで継続されます。 支出が収入を上回って現金が不足すると、現状はどの戦略でも以下の順序で投資口座から取崩します:

  • 特定口座 → iDeCo/DC → NISA

同一種別内の取崩し順は前提条件で選択可能 (デフォルト: 低利回りから先)。 複数の特定口座 / 複数 NISA 等を持つ場合、口座別 yieldRate が異なる際の優先順を制御します。 低利回り口座を先に崩すと高利回り口座を温存でき、長期では有利な傾向。

取崩し時、評価益部分にのみ課税: 特定口座 20.315%、NISA 0%iDeCo / 企業型DC は別ルート(下記サブセクション参照)で 受給年齢時に一括清算するため、通常の取崩し対象には含めません。

iDeCo / 企業型DC の一時金受給 (退職所得扱い)

iDeCo / 企業型DC は 60-75 歳の指定年齢 に達した年に全額を一時金として一括清算します。指定年齢未満では取崩し対象外 (温存)。受給後の税引後額は、ユーザ選択で 新規 特定口座 (運用継続)または 現金 に流入します。

課税方法は 口座所有者 (本人 / 配偶者) の退職金の有無で分岐します:

所有者の退職金課税方法計算式
なし退職所得控除 + 1/2 + 累進 (分離課税)勤続年数 = min(受給年齢, 70) − 拠出開始年齢
あり簡易 5% (全額ベース)税 = balance × 5%

本人と配偶者の判定は独立: self の iDeCo は self の退職金有無 のみで判定、partner の iDeCo は partner の退職金有無のみで判定。 joint 所有はどちらかに退職金があれば 5% (安全側)。

71-75 歳に受給を遅らせても勤続年数は 70 歳で頭打ち: iDeCo は 70 歳までしか拠出できないため、退職所得控除の勤続年数も 70 歳以上は加算されません。 71-75 歳の遅延受給で得られるのは「運用継続による評価益増」のみです。

未反映: 重複期間調整 (5/10/19 年ルール、2022年・2025年改正)、 年金受取 (5-20 年分割) と公的年金等控除、一時金 + 年金の併用、 受取年齢の経過措置。退職金との合算判定は「5% 簡易」で割り切っています。

前提条件の 現金クッション(最低残高)を設定すると、cash がこの金額を下回るときだけ投資から取崩します。 FIRE 後の生活防衛資金として 100〜300 万円程度を維持する用途を想定(初期値 0、未設定 = 従来通り cash 0 まで使う)。

ポートフォリオ評価指標 (/investment)

/investment ページの「合成ポートフォリオ」評価では以下を計算します:

  • 期待リターン = 各資産の期待リターン × 構成比の加重平均 (算術平均ベース)。 CAGR 表示は (1 + r)n の幾何平均ベース
  • 合成標準偏差 σp = √(Σi Σj wi wj σi σj ρij)。 14 種類の資産クラス間 (国内株/先進国株/新興国株/国内債/外国債/REIT/コモディティ等) で約 55 ペアの相関係数を定義
  • シャープレシオ = (期待リターン − リスクフリーレート) ÷ 合成標準偏差。 リスクフリーレートは 0.6% 固定 (日本の短期国債利回りベース、年度変動は反映せず)
  • これらの指標は Monte Carlo の入力にも使われ、合成標準偏差を Box-Muller サンプリングの σ として渡しています

7. FIRE 判定

シミュレーターは 4 種類の FIRE 達成見込みを並行して評価します:

完全リタイア型 (働かない)

  • 理論 FIRE投資資産が年支出の 25 倍以上 (4%ルール)。 投資収益率 4% で取り崩せば理論上は資産が目減りしないライン。最年少達成年齢を提示。
  • 実用 FIRE — その年齢で完全リタイアしても寿命まで資産が枯渇しないと、 実シミュレーションで確認した最早年齢。年金/インフレ/教育費まで全部織り込んだ判定。

段階的リタイア型 (60歳まで軽労働を継続)

  • バリスタ FIRE — 給与系をやめてパート 200万円/年 を 60歳まで継続後、完全リタイアした場合に 寿命まで資産が枯渇しない最早年齢。パート 200万 ≥ 106万 のため社保加入、配偶者は第3号被保険者+健保扶養で 社保ゼロ
  • サイド FIRE — 給与系をやめて自営業/副業 200万円/年 を 60歳まで継続後、完全リタイアした場合に 寿命まで資産が枯渇しない最早年齢。自営業は社保非加入のため、本人+配偶者の 国民年金 と 国民健康保険 を負担(子も国保にぶら下がる)。

バリスタとサイドの違いは 社会保険料の負担。配偶者を扶養に入れられるバリスタの方が一般に早く達成できる傾向。想定収入 (バリスタ パート / サイド 自営業) と 継続終了年齢は /simulator の「前提条件」セクションでユーザー設定可能です (初期値: パート 200万 / 自営 200万 / 終了年齢 60歳)。

年次ステータス分類

各年は以下の式で 6 段階に分類されます。収入源(給与/パート/自営業・副業)で区別します。
判定変数: 給与パート自営業/副業労働収入 = 三者の合計支出 = 年間支出合計倍率 = 投資資産 / 支出

ステータス判定条件意味
就業中給与 ≥ 支出 × 70%主な労働中。給与で生活費の 7 割以上を賄う
バリスタFIRE給与 < 70% かつ パート > 自営業/副業給与減退後、パート収入が主な労働源
サイドFIRE給与 < 70% かつ 自営業/副業 > パート給与減退後、自営業/副業が主な労働源
フルFIRE (4%ルール未達成)労働収入 = 0 かつ 倍率 < 25完全リタイア。資産が 4% ルール未達(倹約必須)
フルFIRE (4%ルール達成)労働収入 = 0 かつ 倍率 ≥ 25完全リタイア。4% ルール達成
フルFIRE (3%取崩し)労働収入 = 0 かつ 倍率 ≥ 33余裕FIRE。3% 取崩しでも維持可能

判定は労働収入=0 の判定が最優先。労働収入があり給与が 70% 未満の場合は、 パート/自営業・副業のうち金額が大きい側で分類します(両方ゼロの場合はバリスタにフォールバック)。

8. 実質値モデル (本シミュレーターの特徴)

本シミュレーターは すべての金額を「実質値 (今日の貨幣価値)」で計算します。 Bengen の 4% ルール / Trinity Study と同じ枠組みで、欧米の FIRE 計算ツール (FIRECalc、cFIREsim、NewRetirement 等) も実質値モデルが標準です。

日本の FP ツールは「名目値 + インフレ率を別途入力」が主流ですが、本ツールは FIRE 理論との一貫性と「今日の感覚で結果が読める」直感性を優先しています。

入力時の注意 (すべて実質値で)

入力欄解釈と入力ヒント
年間生活費 (就業中 / 退職後)今日の購買力で。インフレで膨らませる必要なし
給与・パートの年額 (amount)今日の年収
給与・パートの年成長率実質 = 名目 − インフレ。日本の典型は実質 0% (= インフレに追随)、キャリア成長で実質 1-2%
年金の年額受給時の今日の購買力 (公的年金は物価スライドで実質維持と仮定)
退職金 / iDeCo 一時金受給時の今日の購買力
投資の期待年利回り実質 = 名目 − インフレ。/investment 反映時は自動変換

インフレ率の役割

前提条件の「想定インフレ率」(デフォルト 2%) は計算には直接影響しません。 以下の場面でのみ使用します:

  • /investment → /simulator 反映時の利回り変換: ポートフォリオの名目期待リターン (S&P500 の歴史 CAGR 約 10% 等) を実質 = (1 + 名目) ÷ (1 + インフレ) − 1 で変換して書き込み
  • Monte Carlo シナリオ生成時の変換: 月積立なし MC から P10-P90 percentile の純粋な資産クラス CAGR を逆算し、Z-score スケーリングで各口座 (NISA / iDeCo / 特定 等) の μ / σ に応じた個別 CAGR に分配。最後に Fisher 変換で実質化して /simulator/compare 用 5 シナリオの口座別 yieldRate に反映
  • (将来) 名目換算の参考表示、私的年金・税ブラケットの実質減価表現

実質値モデルの利点: 30 年後の総資産 8000 万 (実質) を見たとき、これは「今日の 8000 万と 同じ購買力」を意味します。名目モデルでは「30 年後の名目 1.5 億 (= 実質 8000 万)」と 頭で換算する必要がありました。

未反映の簡略化: 税ブラケット (基礎控除 48 万 / 扶養控除 38 万 等) は名目固定ですが、 実質固定で扱う簡略化を採用 (= ブラケットクリープを無視)。企業年金 / iDeCo 年金受取 (5-20 年分割) の名目固定による実質減価も未表現です。

9. 実装上の主な簡易化(本ツール未対応)

  • 配偶者特別控除のスライド(配偶者年収 150〜201 万の段階的減額)。150 万円を超えた時点で配偶者控除はゼロ扱い。
  • 配偶者控除自体のスライド(本人合計所得 900〜1000 万の段階的減額)。900 万円超で控除ゼロ。
  • 23 歳以上の一般扶養親族(成人した子・親)。所得 48 万以下の扶養親族に対する控除 38 万は未反映。
  • 老人扶養親族(70 歳以上)の +10 万円上乗せ。
  • 役員退職金の損金算入制限、特定役員退職手当(役員勤続5年以下)の 1/2 課税適用除外、 短期退職手当(従業員勤続5年以下、控除超過分のみ 1/2 不適用)。一般退職は対応済み。
  • 住宅ローン控除、ふるさと納税、医療費控除など 個別の所得控除
  • 厚生年金の 標準報酬月額・標準賞与額上限の年度別改正(2027/9 以降の段階的引き上げは未反映)。
  • 公的年金の 加給年金・振替加算・在職老齢年金による減額
  • NISA 年間枠の上限管理(つみたて 120万 / 成長 240万、生涯 1800万)。本シミュレーターは枠を区別せず一律 NISA として扱い、年間積立額は入力値そのまま。
  • 住宅エクイティの資産計上。持家でも住宅時価・ローン残高を資産負債として扱わず、ローン返済額を支出フル計上する単純化を採用。
  • 住宅取得・売却の 諸経費(仲介手数料、登記、引越し費用など)。
  • 投資の 下落リスク は基本シミュレーターでは固定利回り(決定論的)。 別系統のリスク評価として以下を提供しています:
    • 暴落テスト— 指定年齢でリーマン・コロナ等の過去の暴落が起きた場合を月次粒度で再現
    • Monte Carlo シミュレーション— log-normal 分布 (log(1+r) ~ N(log(1+CAGR), σ²)) からサンプリング、Box-Muller 法 + シード付き乱数で再現性を担保。 median が確定的複利 (1+CAGR)N と一致するため、/simulator の P50 シナリオと整合。 ポートフォリオの期待リターン (CAGR) と合成標準偏差から数千試行のファンチャート (P10/P25/P50/P75/P90) を生成。月積立あり (実際のプランの予測幅) と 月積立なし(純粋な資産クラスの成長) を併記表示
    • MC 結果から /simulator の 5 シナリオ (P10-P90) を自動生成して比較可能 (Phase B)。 月積立なし MC の純粋 CAGR を Z-score スケーリングで各口座の μ/σ に応じて分配し、 Fisher 変換で実質化して口座別 yieldRate を割り当て (NISA / iDeCo / 特定口座 で異なる成長率を再現)