投資商品の選び方
レバナス・ゴルナス等のリスク高商品を一部入れるべきか — リターン期待と長期リスク
「レバナスで一気に FIRE」は本当に可能か
SNS や YouTube で「レバナスで FIRE 達成!」「ゴルナスで資産倍増!」という派手な発信を見かけます。 子育て中で時間がない中、「短期間で資産を増やしたい」と思うと魅力的に見える。
この記事では、レバレッジ型商品の 本当のリスク と、 子育てファミリーの FIRE 計画に組み込んでいいかを解説します。
レバナス・ゴルナスとは
- レバナス: NASDAQ100 の 2 倍レバレッジ 商品。 指数が +1% なら商品は +2%、-1% なら -2%
- ゴルナス: NASDAQ100 + 金 (Gold) の組み合わせ + レバレッジ。 値動きの異なる 2 資産で相関を下げつつレバレッジを掛ける
どちらも「上がるときの伸びが大きい」のが魅力ですが、構造的な弱点があります。
長期保有の最大の弱点: Volatility Decay
レバレッジ商品には 「ボラティリティ・ディケイ」 という現象があります。
例: NASDAQ100 が以下のように動いた場合:
- 1 日目: +10% (100 → 110)
- 2 日目: -10% (110 → 99)
- 結果: 元の 100 に対して -1% (99)
NASDAQ100 のレバナス (2 倍) で同じ動きだと:
- 1 日目: +20% (100 → 120)
- 2 日目: -20% (120 → 96)
- 結果: 元の 100 に対して -4% (96)
指数が往復しただけで、レバナスは大きく目減りします。 この現象は 長期保有するほど不利 になります。
レバナスは「右肩上がりの局面」では指数を上回りますが、 「ボラティリティの高いレンジ相場」では指数を大きく下回ります。
過去のリーマンショックでの実例
2008 年リーマンショック時、NASDAQ100 は約 -50% 下落。 仮にレバナス (2 倍) があったら、ピークから -80% 近く下落 していました。
回復にはどれくらいかかったか:
- NASDAQ100 : 2014 年に回復 (約 6 年)
- レバナス (仮): 2017 年以降 (約 9 年)
子供の大学費用ピーク (親 50 代前半) でレバナス -80% を喰らうと、 FIRE 計画は崩壊レベルのダメージを受けます。
子育て期に入れていいか?
結論: 入れるなら少額 (5-10%) に絞り、コア資産にはしない。
推奨パターン
- 無難な選択: 入れない。 全世界株 + 個人向け国債 + 金で十分
- 少額のサテライト: 全資産の 5% 以内。 コアは全世界株、レバナスは「お遊び枠」として
- NG パターン: 30%+ で持つ、NISA 枠を使う、子供の教育費に充てる前提
人生コンパスでの試算結果
デフォルトシナリオで NISA をレバナスにした場合の Monte Carlo 試算:
- 全世界株 100%: 中央値で FIRE 約 54 歳、悲観 P10 で約 60 歳
- レバナス 100%: 中央値で FIRE 約 50 歳、悲観 P10 で FIRE 不可能
- 全世界株 95% + レバナス 5%: 中央値で FIRE 約 53 歳、悲観 P10 で約 59 歳 (ほぼ全世界株 100% と同等)
レバナス 100% は楽観シナリオでは魅力的だが、悲観シナリオの破壊力が大きすぎる。 5% 程度なら全体への影響は小さく、上ぶれ時の恩恵は残る。
NISA で扱うべきか
結論: NISA で扱うべきではない。
理由:
- NISA 枠は「長期で堅実に増えるもの」に使うのが本筋
- レバナスが暴落すると NISA 枠が無駄になる
- レバナスを使うなら特定口座で、損益通算の選択肢を残す
子育てファミリーへの最終回答
「短期間で資産を増やしたい」という気持ちは理解しますが、 子育て期は 「失敗しないこと」が最重要。
レバナス・ゴルナスは:
- 子育て期: 原則入れない
- どうしても試したい: 5% 以内、特定口座で、絶対 NISA 枠を使わない
- 子供独立後: 一時的に 10-20% 入れて短期スパイクを狙うのもあり