みなし勤続年数とは?iDeCo・退職金の控除がいくら減るか計算式で解説
退職金と iDeCo 一時金を 別々の年 に受け取ると、勤続期間と iDeCo 加入期間が 重なった「重複期間」の分だけ、後から受け取る側の 退職所得控除が減らされます。 ところが、先に受け取った退職金が控除を使い切っていない場合は、 実際の勤続年数ではなく 「みなし勤続年数」 で重複を計算する特例があり、 控除の減りが小さくなります (所得税法施行令第 70 条 / 国税庁 No.2732)。
この記事では、みなし勤続年数の 計算式・早見表・具体例 を示し、 iDeCo 側にいくら控除が残るのかをわかりやすく解説します。
そもそも退職所得控除とは
退職金にかかる税金は、まず大きな非課税枠「退職所得控除」を差し引いてから計算します (国税庁 No.1420)。控除額は勤続年数で決まります。
- 勤続 20 年以下: 40 万円 × 勤続年数
- 勤続 20 年超: 800 万円 + 70 万円 × (勤続年数 − 20)
iDeCo を一時金で受け取る場合の「勤続年数」は iDeCo の加入年数 (掛金を拠出した期間。 運用指図者の期間は含みません) で計算します。
なぜ「みなし勤続年数」が必要なのか
退職金 (会社) と iDeCo 一時金は、どちらも「退職所得」です。同じ年に両方受け取ると 退職所得控除は 合算で 1 回分 しか使えません。そこで受け取る年をずらすと 控除を 2 回使える可能性がありますが、勤続期間と iDeCo 加入期間が重なっている期間 (重複期間) については、二重取りを防ぐため 後から受け取る側の控除が減算されます。
みなし勤続年数の計算式
前に受け取った退職金の「支給額」から、控除額の式を逆算して年数を求めます (1 年未満の端数は 切り捨て)。
・前の退職金 ≤ 800 万円 … 退職金 ÷ 40 万円
・前の退職金 > 800 万円 … (退職金 − 800 万円) ÷ 70 万円 + 20
(いずれも 1 年未満切り捨て)
みなし勤続年数の早見表
先に受け取った退職金の額ごとに、みなし勤続年数の目安は次のとおりです。
- 退職金 400 万円 → みなし勤続 10 年 (= 400 ÷ 40)
- 退職金 800 万円 → みなし勤続 20 年 (= 800 ÷ 40)
- 退職金 1,000 万円 → みなし勤続 22 年 (= (1,000 − 800) ÷ 70 + 20 = 22.8…)
- 退職金 1,200 万円 → みなし勤続 25 年 (= (1,200 − 800) ÷ 70 + 20 = 25.7…)
- 退職金 1,500 万円 → みなし勤続 30 年 (= (1,500 − 800) ÷ 70 + 20)
- 退職金 2,000 万円 → みなし勤続 37 年 (= (2,000 − 800) ÷ 70 + 20 = 37.1…)
具体例: 退職金 1,200 万・勤続 36 年のケース
- 勤続 36 年の退職所得控除 = 800 + 70 × (36 − 20) = 1,920 万円
- 退職金は 1,200 万円 → 控除 1,920 万円を 使い切っていない
- そこで重複期間の計算には、実際の勤続 36 年ではなくみなし勤続 25 年 ((1,200 − 800) ÷ 70 + 20 = 25.7 → 切り捨て) を使う
- 前職の期間を 36 年ではなく 25 年とみなすぶん、iDeCo 加入期間との重複が圧縮され、iDeCo 側に退職所得控除が多く残る
この「みなし勤続年数で重複を圧縮する」処理を反映しないツールでは、 iDeCo 側の控除が 過大に減らされ、税額が実際より高く出てしまいます。 人生コンパスの退職金シミュレーターは、施行令第 70 条のみなし勤続年数を 正規ロジックで反映し、実効控除と税額を自動計算します。
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退職金シミュレーターで試算するよくある誤解
誤解 1: iDeCo 加入年数ぶんの控除がそのまま使える
退職金と受け取り年をずらしても、重複期間がある限り iDeCo 側の控除は減算されます。 「加入 30 年だから 1,500 万円まるごと非課税」とはなりません。
誤解 2: 10 年ずらせば必ず控除をフルに使える
必要な間隔は「今回受給するもの」で異なります。今回が iDeCo 一時金の場合は前年以前 19 年内 (19 年ルール) に受けた退職金が重複調整の対象になるため、 10 年差では重複が残ります。詳しくは iDeCo の出口戦略の記事 で解説しています。
誤解 3: みなし勤続年数も切り上げで計算する
退職所得控除の勤続年数は切り上げですが、みなし勤続年数は 切り捨て です。 向きが逆なので注意してください。
計算ロジックの詳細 (数式・前提・控除の出し方) を先に確認したい方は、以下をどうぞ。