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退職金 + iDeCo の受け取り方で「数百万円」変わる — 7 パターン比較シミュレーターを公開しました

退職金 + 企業型 DC + iDeCo + 公的年金。 この 4 つの「老後資産」を どんな順番でどの形で受け取るか によって、 税引後の手取りが 数十万円〜数百万円 変わります。

「いずれ受け取るんだから誤差じゃない?」と思うかもしれません。実際の数字で見ると、 想像以上の差が出ます。本記事では具体例で「最大何円変わるか」を示し、 最後に新しく公開した 7 パターン比較シミュレーター を案内します。

具体例: 退職金 1,200 万 + DC 500 万 + iDeCo 500 万

60 歳退職、勤続 36 年、DC 加入 22 年、iDeCo 加入 22 年。 受け取り総額は 2,200 万円で固定です。これを 4 パターンで比較します。

パターン A: 60 歳に全額一括

  • 受給: 2,200 万円 (60 歳・一時金)
  • 退職所得控除: 1,920 万円 (勤続 36 年)
  • 退職所得 = (2,200 − 1,920) × 1/2 = 140 万円
  • 税額: 約 21 万円 (所得税累進 + 住民税 10% + 復興税)

合算した結果が控除内寄りに収まるため、税が軽い。実はこのケース、A が最強です。

パターン B: 1 年ずらし (退職金 60 歳、DC + iDeCo 61 歳)

  • 退職金 1,200 万 (60 歳・一時金): 控除 1,920 万に収まり 税ゼロ
  • DC + iDeCo 1,000 万 (61 歳・一時金): 退職金との重複調整あり
  • みなし勤続年数 25 年 (= (1,200 − 800) ÷ 70 + 20) で前職期間を短縮 → 重複 11 年
  • iDeCo 側の実効控除 = 940 − 440 = 500 万残る
  • 退職所得 = (1,000 − 500) × 1/2 = 250 万 → 税額 約 40 万円
みなし勤続年数のポイント: 退職金が控除を使い切らない場合、 前職の勤続期間を「実際の年数」ではなく「支給額から逆算した年数」で扱う規定があります (国税庁 No.2732 / 所得税法施行令第70条)。 この処理を反映しないと、iDeCo 側の控除が過大に減算されて税が高く出ます。

パターン D: iDeCo 移管 + 70 歳まで拠出継続

  • 退職金 1,200 万 (60 歳): 税ゼロ
  • DC を iDeCo に移管 + 月 5,000 円 × 10 年拠出 → iDeCo 加入期間 32 年
  • 70 歳に iDeCo 一時金: 加入 32 年なら控除のフル額は 1,640 万円 (= 800 + 70 × 12)
  • ただし退職金との重複期間の調整で控除が約 440 万円減算され、 実効控除は 約 1,200 万円。残高 1,500 万弱のうち 1,200 万までは 一時金で税ゼロ、超過分 (約 300 万) を年金受給に回しても税は数十万円程度に収まる (完全な税ゼロではない点に注意)
適用条件: 65 歳以降に iDeCo 拠出を続けるには、2026/12/1 以降の加入要件 「老齢基礎年金または iDeCo 老齢給付金が未受給」を満たす必要があります。 つまり 老齢基礎年金を 70 歳以上に繰下げ することが事実上必須。

パターン C: 退職所得控除フル活用 + 余りを年金で

  • 退職金 + DC + iDeCo を控除内まで一時金 (= 1,920 万まで税ゼロ)
  • 超過分 280 万を 60 歳から N 年連続で iDeCo 年金受給
  • 受給期間は 5/10/15/20 年から税最適化で自動選択
  • 公的年金等控除 (65 歳未満 60 万 / 65 歳以上 110 万) と組み合わせて軽課税

結論: 「常に分けた方が得」は誤り

このケース (退職金 1,200 万 + DC 500 万 + iDeCo 500 万) では A 一括が最強。 合算しても控除 1,920 万に収まり、累進高帯にもかからないため、年を分けるメリットがありません。

では「常に A 一括が正解」かというと、それも違います。例えば 退職金 2,000 万 + DC 1,500 万 + iDeCo 1,000 万のような大きいケースでは合算 4,500 万 − 控除 1,920 万 = 超過 2,580 万となり、 × 1/2 後の課税所得 1,290 万 が累進の高帯にかかります。この場合は B (1 年ずらし) や D (iDeCo 移管+延長) で年を分けたほうが税が大きく下がります。

つまり最適パターンは「あなたの数字」で決まります。退職金額・DC 残高・iDeCo 残高・勤続年数・退職後収入・基礎年金繰下げ年齢 … の組み合わせで答えが変わるため、自分の数字で 7 パターン比較するのが唯一の正解です。

シミュレーターの 7 パターン

  • A 60 歳一括: 退職金・DC・iDeCo をまとめて受給 (基準ケース)
  • B 1 年ずらし: 退職金 60 歳・確定拠出 61 歳で累進緩和
  • C 控除フル+年金: 退職所得控除内を一時金、超過は年金で分散
  • D iDeCo 移管+延長: DC を iDeCo に移管 + 70 歳まで拠出継続 (王道)
  • E 75 歳繰下げ: iDeCo で 70-75 歳生活、公的年金は 75 歳まで繰下げて 1.84 倍
  • F ハイブリッド: 退職金+DC を 60 歳、iDeCo は 65 歳分散 (DC+iDeCo 両方加入向け)
  • G iDeCo 先・退職金 10 年後: 60 歳 iDeCo+DC・70 歳 退職金 (70 歳まで継続雇用条件)

このシミュレーターの差別化ポイント

  • みなし勤続年数を正規ロジックで反映: 多くの試算ツールが省略しがちな所得税法施行令第70条の規定を反映。 退職金が控除を使い切らないケースで iDeCo 側に控除が正しく残ります
  • 2026/12 改正の iDeCo 70 歳まで加入に対応: 加入要件 (老齢基礎年金未受給) もチェックして警告
  • 新 10 年ルール (令和 8 年改正) に対応: 退職金 → iDeCo / iDeCo → 退職金 の重複窓 (5 年 / 10 年 / 19 年) を方向別に正確に判定
  • 厚生年金・基礎年金を別々の開始年齢で指定可能: 「厚生 65 歳 + 基礎 70 歳繰下げ」のような戦略も検証できます
  • 計算過程を全公開: 各一時金の 受給 − 控除 = 超過 × 1/2 = 課税所得 を明示。何で何が計算されているか追えます
  • 無料・登録不要・入力データはブラウザ内のみ: サーバーに何も送信されません

あなたの数字で 7 パターン比較してみる

3 ステップ・約 5 分で入力完了。退職金見込額と年金定期便の値を入れるだけで、税引後の手取りを 7 パターン同時に試算します。

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次回は本記事で触れた 「みなし勤続年数」 を深掘りします。 国税庁 No.2732 の算式と、ご自身のケースでどれくらい iDeCo 控除が残るかの考え方を解説予定。

計算ロジックの詳細を先に確認したい方は、以下をどうぞ。

本記事は概算であり、正確な税額・年金額を保証するものではありません。 重要な意思決定の前には税理士・社労士にご相談ください。